【地域探究】教育旅行だからこそ実現する、その地ならではの学び。地域探究プログラムの最新事例5選!

近年、学校教育における「総合的な探究の時間」の定着に伴い、修学旅行や校外学習をはじめとする「教育旅行」のあり方が大きな転換期を迎えています。

従来主流だった「見学中心の観光型旅行」から、現地の産業・自然・地域課題に直接触れ、生徒自らが問いを立てて行動する「地域探究」型プログラムを採用する学校が急増しています。

本記事では、旅行会社の教育旅行担当者様や学校の先生方に向けて、教育旅行だからこそ実現できる「その地ならではの学び」の価値を解説するとともに、地域と連携した先進的な実践事例を5選をご紹介します。

地域探究の主な4つの価値│教育旅行だからこそ叶う「その地ならではの学び」

教室での授業やインターネット検索による調べ学習とは異なり、実際に現場へ足を運ぶ教育旅行には次のような独自の学習価値が存在します。

  • 実社会と接続した「当事者意識」の醸成 :地域の事業者や住民など「本物の大人」や産業現場に触れることで、教科書の中だけでは実感しにくい社会課題や環境問題を「自分ゴト」として捉えるきっかけをつくります。
  • 教科横断的・多角的な視点の獲得: 一次産業(農林水産業)から先端技術、歴史・文化までを、一つの地域内で立体的に体感することで、事前・事後学習を含めた深みのある学びが構築されます。
  • 「思考」から「社会実践」へのステップアップ :教室でアイデアや解決策を練るだけでなく、実際の現場で試行錯誤し、地域社会から直接フィードバックを得る経験を通じて、主体性と実践力を育みます。
  • 学びの質を高める独自の行程づくり :オーバーツーリズムの影響を回避しつつ、地域の特長を活かしたフィールドワーク(職場体験や企業連携など)を組み込むことで、安全面と密度の高い探究活動を両立できます。

「地域探究プログラム」におすすめのプログラム、最新事例5選!

地域資源の活用方法や教育的アプローチは、都道府県や実施事業者によって多種多様です。

ここでは、学校の教育目的に応じて選べる、先進的でユニークな地域探究プログラムの具体事例を5つご紹介します。

1. 香川県│プロ野球の「本物の現場」で社会実践力を育む

本プログラムは、スポーツビジネスと地域を題材に、高校生が学校・地域を越えて学び、最後はプロ野球のホームゲームで自ら考えた企画を実践する研修です。

プロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグplusに所属する香川オリーブガイナーズ*(所在地:香川県高松市、代表取締役社長:澤村俊輔)は、2026年8月19日(水)から21日(金)までの3日間、球団独自の教育プログラム「せとうち探究研修旅行」を香川県内で実施しました。

*香川オリーブガイナーズ球団株式会社

四国アイランドリーグplusに所属し、創設21周年を迎える独立リーグ球団。NPBおよび海外プロリーグへの選手輩出は 30名 とリーグトップクラスを誇る。

主なOBには、福岡ソフトバンクホークスや中日ドラゴンズで活躍した又吉克樹氏など。

近年は、プロスポーツの持つ「学び・挑戦・地域とのつながり」という価値を再定義し、探究学習プログラムや地域教育連携、企業・自治体との協働による次世代育成 を推進。

スポーツをきっかけに 社会課題の解決や地域の活性化に寄与する“社会価値創出型の球団” を目指している。

  • プログラム名: せとうち探究研修旅行
  • 実施主体・連携: 香川オリーブガイナーズ球団株式会社、大手前高松高等学校 ほか
  • 概要: プロ野球独立リーグの「本物の球場・試合空間」を学びの場として開放。事前準備(オンライン交流や他校との共創)を経て、ホームゲーム会場で生徒自らが企画したイベント(名物販売、外野リレー、スタンプラリー等)を実践します。
  • 学びのポイント: 現場で計画通りに進まない場合でも、観客へ直接声をかけるなど即座に行動を変える経験を通じ、教室では得られない社会実践力や主体性を育みます。

実施校の事例│鎌倉学園(神奈川県)

2026年8月19日(水)から21日(金)までの3日間、神奈川県から鎌倉学園の高校生24名が来県し、大手前高松高等学校との共同授業や三豊市での地域学習など含めた、「せとうち探究研修旅行」を香川県内で実施されました。

*実施レポートはこちら:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000127200.html

2. 神奈川県│中高生が“旅行者から創造者へ”変わるSDGs探究

日産自動車株式会社(以下、日産)と株式会社日本旅行(以下、日本旅行)が発起人となり、2024年8月に設立したグリーンジャーニー推進委員会(以下、委員会)は、来年行われる「GREEN×EXPO 2027(2027年国際園芸博覧会)」に向けて横浜市で立ち上げられた「ヨコハマ未来創造会議」の若者メンバーとともに、中高生向けの教育旅行プログラム「GREEN JOURNEY for SCHOOL 横浜」を開発し、2026年3月2日(月)より提供を開始しました。

  • プログラム名: GREEN JOURNEY for SCHOOL 横浜
  • 実施主体・連携: GREEN JOURNEY推進委員会(発起人:日産自動車、日本旅行など)、ヨコハマ未来創造会議(若者チーム「SAY!」)
  • 概要: GREEN×EXPO 2027を見据え、「将来暮らしたいサステナブルなまち」をテーマに開発されたプログラム。生徒は「職業名刺」を持ち、脱炭素先行区域である「みなとみらい21地区」の企業・施設(日産、パシフィコ横浜等)をロゲイニング形式で訪問。
  • 学びのポイント: 地産地消(市内食材90%以上)のお弁当や職業体験カードワークを通じ、楽しみながらサステナビリティを自分事化し、自ら未来を創る視点を養います。
  • 参照リンク:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000147313.html

3. 茨城県│一次産業から先端研究まで、地域全体を学び場に

アーストラベル水戸株式会社(本社:茨城県水戸市、代表取締役:尾崎精彦)は、茨城県内の市町村および事業者と連携し、学校との対話を重ねながら、目指す学びの方向性に応じて設計したプログラムを提供しています。

当社では、茨城県内に広がる農業や林業などの第一次産業に加え、つくばエリアの研究機関や先端分野に取り組む企業など、多様な産業が近接して存在する地域特性に着目し、これらを学びのフィールドとして再編集してきました。

生産から研究、社会実装までを一つの地域内で横断的に捉えられる点は、茨城ならではの特徴であり、生徒が社会のつながりを実感できる学びの環境となっています。

  • プログラム名: オーダーメイド型探究・職場体験「シゴトリップ」
  • 実施主体・連携: アーストラベル水戸株式会社、茨城県内34市町村・173事業所、首都圏および県内学校
  • 概要: 農林水産業からつくばエリアの先端研究機関まで集積する茨城の特性を活用。生徒が選択した各地に分かれて1日職場体験を行う「シゴトリップ」のほか、従来の観光型から「現場体験×研究×社会実装」軸へ転換したオーダーメイド型行程(関東学院中高などの導入事例)を提供します。
  • 学びのポイント: 学校ごとの教育方針に応じた事前個別設計により、単なる施設見学に終わらない「密度の高い学び」と「身近な社会とのつながり」を実現します。

アーストラベル水戸、教育旅行の参加生徒数が2年で3倍の1.3万人を突破!

実績概要(2025年度)
  • 参加者数:延べ13,100名(小学生〜高校生)
  • 導入校数:茨城県内55校、首都圏6校
  • 連携地域:34市町村(県内44市町村中)
  • 連携事業所数:173事業所

…首都圏の学校では、東洋英和女学院小学部や鎌倉学園中学校高等学校などで継続利用されており、リピート率はほぼ100%となっています。

*参照リンク:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000122954.html

4. 滋賀県│琵琶湖と山々の自然資本から考える、“ネイチャーポジティブ”な未来。

滋賀の比良山系と琵琶湖が育む自然環境を舞台に、環境と経済が共生する“ネイチャーポジティブ”な未来を考える体験型探究プログラム。

滋賀の自然資本を使った3つのプログラムから、自分の興味・関心のあるものを選択し、自然循環や未利用資源の価値化プロセスを体感し、地域資源の持続可能な活用について考察を深めます。

  • プログラム名: びわ湖自然体験学習「自然共生プログラム」
  • 実施主体・連携: 滋賀・琵琶湖の自然体験学習施設 BSCウォータースポーツセンター
  • 概要: 比良山系と琵琶湖が育む自然環境を舞台に、環境と経済が共生する“ネイチャーポジティブ”な未来を考察。
    1. ヨシを用いたエコストロー作り: 琵琶湖の未利用資源「ヨシ」のストロー製作・普及可能性の探究
    2. タデアイのびわ湖ブルー藍染め: 自ら育てた「タデアイ」からの色抽出による地域循環と伝統文化の学び
    3. クロモジのルームスプレー調香: 比良山の香木「クロモジ」の蒸留を通じた水循環の五感体感
  • 学びのポイント: 自然資本の循環や未利用資源の価値化プロセスを体感し、地域資源の持続可能な活用について考察を深めます。

*概要資料のダウンロードはコチラ:【BSC】自然共生プログラム概要資料.pdf

5. 愛媛県│「メディア×教育」のシナジーで探究学習を深化

株式会社あいテレビ(所在地:愛媛県松山市、代表取締役社長:左納和宜、以下itv)と、愛媛を中心に集団学習塾などを展開する株式会社寺小屋グループ(所在地:愛媛県松山市、代表取締役会長:吉見達治、以下TG)は、2026年8月20日(木)に探究学習をテーマとした合弁会社「合同会社i-Teract(アイテラクト)」を設立します。

  • 実施主体・連携: 合同会社i-Teract(株式会社あいテレビ×株式会社寺小屋グループ)
  • 概要: 地元テレビ局(あいテレビ)の取材力・映像アーカイブ・情報発信力と、総合学習塾(寺小屋グループ)の教育ノウハウを掛け合わせたローカルモデル。
  • 学びのポイント: 愛媛の豊富な自然・地域資産やテレビ局の豊富な映像コンテンツを活用し、子どもたちが自ら問いを立てて答えを生み出す体験型教育旅行コンテンツ・地域探究ソリューションを提供します。
  • 参照リンク:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000149772.html

まとめ│教育旅行だからこそ実現する、その地ならではの学び。

これからの教育旅行・校外学習は、単に有名な観光スポットを巡るだけではなく、地域で暮らす人や産業、自然、課題と直接向き合い、「その地ならではの学び」を得る絶好の機会です。

今回ご紹介した5つの事例のように、地域資源やプロスポーツ、企業・メディア等と連携した地域探究プログラムを取り入れることで、生徒の主体的な問いや学びを引き出すことが可能になります。

旅行会社の担当者様・学校の先生方におかれましては、学校の教育方針や目的に合わせた地域探究を検討し、生徒様にとって人生の財産となる探究学習の場をプロデュースしてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。