【サステナブル・探究学習】学校団体におすすめの「廃材活用」と「アップサイクル」を学べる体験学習&企業事例

学校の先生や、教育旅行を企画する旅行会社の営業担当者のみなさま、このようなお悩みはありませんか?

  • 次の校外学習や修学旅行、サステナブルをテーマにしたいけれど、ありきたりな内容じゃ生徒が退屈してしまう……
  • 「探究学習」のネタとして、もっと身近で、かつ「社会課題」に直結する生きた事例はないだろうか?

いま、教育現場で大きな注目を集めているキーワードが「アップサイクル(Upcycle)」です。

単にゴミを分別して再利用する(リサイクル)だけでなく、廃材にデザインやアイデアという「新しい命」を吹き込み、より価値の高いものへと生まれ変わらせるこの取り組みは、生徒たちの創造性や問題解決能力を育む探究学習のテーマにぴったりです。

本記事では、学校団体が校外学習や探究学習として活用できる、日本の「アップサイクル・廃材活用」の最先端事例や、実際に生徒たちが手を動かして学べる体験プログラムを厳選してご紹介します。

次の教育旅行の提案や、授業のカリキュラム作成にぜひお役立てください!

そもそも「アップサイクル」とは?

アップサイクルとは、本来であれば捨てられるはずだった廃棄物や副産物(廃材)に、「デザイン」や「アイデア」といった新たな付加価値を組み合わせることで、別の新しい製品に生まれ変わらせることです。「クリエイティブ・リユース(創造的再利用)」とも呼ばれています。

「リサイクル」や「ダウンサイクル」との違い

私たちがよく耳にする「リサイクル(再資源化)」は、ゴミを一度ドロドロに溶かしたり、細かく砕いたりして「原料」の状態に戻してから再利用します。これには多くのエネルギー(電気や熱)が必要です。

また、再利用するたびに素材の品質が下がっていくケース「ダウンサイクル」と呼ばれます。

(例:古着を細かく裂いて工場の雑巾「ウエス」にする、ペットボトルを繊維にして作業服にするなど)

一方、アップサイクル素材の形や特徴を活かしながら、元の製品よりも価値を高めるという特徴があります。

先生が授業で使える!3つの違いの例え話

  • リサイクル: 空き缶を一度溶かして、また新しいアルミ缶の原料にする。
  • ダウンサイクル: 着古したTシャツを、使い捨ての雑巾(ウエス)にする。
  • アップサイクル: 破れたスポーツのテント生地を、おしゃれで頑丈な「世界に一つだけのトートバッグ」に変身させる。

素材の背景にあるストーリーを学び、「どうすればもっと素敵に変身させられるか?」を考えるプロセスそのものが、これからの時代に必要な思考力を養う最高の教材となります。

社会を変える!「アップサイクル」に挑む企業の最先端事例4選

本来なら廃棄され環境負荷やコストの要因となっていた廃材に、革新的なアイデアと技術で「新しい価値」を与え、ビジネスとして成立させている先進的な企業事例をご紹介します。

appcycle株式会社(青森県)

  • 活用する廃材・素材: 廃棄りんごの搾りかす(加工残渣)
  • 背景・課題: 日本一のりんご王国である青森県では、年間約44万トンのりんごが生産されています。しかし、ジュースなどの加工後に出る大量の搾りかすの処理にかかる環境負荷や費用負担が長年の大きな課題でした。さらに、農家の高齢化や後継者不足による一次産業の衰退も深刻化しています。
  • 活動実績と社会へのインパクト: 同社はりんごの残渣を配合したバイオベースレザー「RINGO-TEX®」の開発に成功。現在ではEVバスのシートやANAの機内用品、有名アパレルブランドとのコラボ商品に採用されるなど、国内外で社会実装が広がっています。
  • 学びのポイント: 地域の特産品(一次産業)の裏にある課題を、テクノロジーとデザインで「世界に通用する素材」へと昇華させた事例です。地方創生と環境保全を両立するビジネスモデルとして、生徒の探究心を刺激します。
  • 参照URL:青森発・廃棄りんご由来のバイオベースレザー「RINGO-TEX®」がSusHi Tech Tokyo 2026に出展。 | appcycle株式会社のプレスリリース

amu株式会社(宮城県気仙沼市)

  • 活用する廃材・素材: 廃棄漁網(廃漁具)
  • 背景・課題: ファッション業界は世界第2位の環境汚染産業と言われ、サステナビリティ対応が急務です。一方、海では塩分や汚れを含む「廃漁網」が、リサイクルや焼却が困難なため多くが埋め立て処分されてきました。これは環境負荷が高いだけでなく、漁師に高額な産廃処理費用を強いるという経済的負担にもなっています。
  • 活動実績と社会へのインパクト: 廃漁網を回収・再資源化した生地「amuca® Fabric」を展開。特筆すべきは、QRコード付きのタグによって「どこの海の、どの漁師が提供した素材か」まで遡れる高い透明性を実現している点です。この取り組みが評価され、関西万博スタッフのバッグや水族館のユニフォームに採用されました。
  • 学びのポイント: 「海の豊かさを守ろう」というSDGsの目標に対し、当事者である漁師の経済的負担(産廃費用)を減らしながらアパレルへと循環させる仕組みは、社会のリアルなつながりを学ぶ生きた教材になります。
  • 参照URL:廃漁網の回収から製品化まで一貫して可視化したリサイクル生地「amuca® Fabric」を本格販売開始 | amu株式会社のプレスリリース

株式会社イトーキ × キユーピー株式会社

  • 活用する廃材・素材: 卵殻(鶏卵の殻)
  • 背景・課題: マヨネーズなどの製造で国内生産量の約1割(年間約25万トン)の卵を使用するキユーピーでは、年間約2万8千トンもの卵殻が発生します。同社は早期から卵殻の100%再資源化(肥料やチョークなど)を目指してきましたが、さらに「素材が持つ物語」を可視化し、企業空間に循環型の思想を反映させたいという狙いがありました。
  • 活動実績と社会へのインパクト: オフィス家具大手のイトーキと共同で、粉砕した卵殻を透明樹脂で包み込み、殻の質感を活かした家具の天板素材を開発。企業のオフィスやエントランスといった法人向け空間に導入され、企業の理念やサステナブルな姿勢を伝えるデザインとして活用されています。
  • 学びのポイント: 異業種(食品×家具)がコラボレーションすることで、身近な食品ゴミが「洗練されたインテリア」に生まれ変わるおもしろさを学べます。モノに込められた「ストーリー(物語)」を伝えるデザインの力を知るきっかけになります。
  • 参照URL:イトーキ、キユーピーの卵殻をアップサイクルした天板素材を製作 | ニュースルーム | ITOKI 企業情報サイト

株式会社スタイリングライフ・ホールディングス(BCL)× 株式会社Mizkan

修学旅行や校外学習に!「アップサイクル体験プログラム」6選

滋賀・琵琶湖の自然体験学習施設│BSCウォータースポーツセンター(滋賀県)

  • 体験内容: 琵琶湖の「ヨシ」を活用した環境学習&ヨシストロー作り
  • 活用する廃材・素材: 琵琶湖のヨシ(植物)
  • 背景・課題: 世界的なプラスチックごみ問題への対応として、地域の大学生が「琵琶湖のヨシ(枯れると水質悪化の原因にもなる植物)」をプラスチックの代替素材として活用するアイデアを発案。この地域資源をいかに社会に広め、持続可能な循環を作るかが課題でした。
  • 活動実績(学校団体の受け入れ): 琵琶湖の環境に関する講話、ワークショップ、そして実際にヨシを使った「ヨシストロー作り」を組み合わせた体験プログラムを提供。SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を肌で学ぶ場として、多くの学校団体を受け入れているほか、周辺の宿泊施設への出張授業も行っています。
  • おすすめポイント: 関西圏・中部圏からのアクセスが良い滋賀県・琵琶湖エリアの定番プログラムです。大学生のアイデアから始まったという背景は、中高生にとって「自分たちにも何かできるかもしれない」という強い動機付けになります。
  • 参照URL:【学校向け】ヨシストロー作り体験学習 | 滋賀・琵琶湖の自然体験学習施設 BSCウォータースポーツセンター

合同会社縄文企画「EARTH GARDEN」(沖縄県石垣島)

  • 体験内容: ビーチクリーン&海洋プラゴミのアップサイクルアート体験
  • 活用する廃材・素材: 海洋プラスチックゴミ
  • 背景・課題: 地球規模の課題である海洋プラスチック問題。美しい観光地である石垣島の環境を守るためには、これを「義務感」ではなく、旅行者も地域も「楽しみながらジブンゴト化」できるエンターテインメント性のある仕組みが必要でした。
  • 活動実績(学校団体の受け入れ): 「拾ったゴミが入場通貨になる」という世界初のコンセプトを持つテーマパークを運営。生徒たちが自らビーチクリーン(ゴミ拾い)を行い、回収したプラスチックゴミを併設の「アップサイクル工房」でアート作品や日常で使える小物へと変身させる、一連の循環型プラットフォームを体験できます。
  • おすすめポイント: 沖縄・石垣島への修学旅行で大人気のプログラムです。「ゴミ拾い=楽しい体験」へと180度転換させた仕組みは、生徒の満足度が非常に高く、旅の最高の思い出と学びを同時に提供できます。
  • 参照URL:【世界初!】石垣島に地球の未来を変えるテーマパークが誕生 | 合同会社縄文企画のプレスリリース

株式会社SKLO(神奈川県川崎市)

  • 体験内容: 廃棄横断幕を使った空間アート(インスタレーション)共創プロジェクト
  • 活用する廃材・素材: 市のイベントなどで使用された「廃棄横断幕」
  • 背景・課題: 単にゴミから再生品(グッズ)を作るだけでなく、その製造過程における「体験」や「空間」を多くの人と共有することで、地域社会全体にサステナビリティの本質的な理解(愛着やコミュニティの醸成)を広めることを目的としています。
  • 活動実績(学校団体の受け入れ): 地域の小学生が授業の一環として参加。本来捨てられるはずだった市のイベント横断幕を素材に、みんなで600個もの「風車」を製作しました。完成した風車は市役所の新庁舎に展示され、大規模な空間アート(インスタレーション)を地域と共創するプロジェクトとして結実しました。
  • おすすめポイント: 首都圏での日帰り校外学習や、総合的な学習の時間(探究学習)の長期プロジェクトとして非常に優秀です。自分たちが作ったものが「地域の公共空間に展示される」という達成感は、キャリア教育の観点からも高い効果を発揮します。
  • 参照URL:市内の小学生がつくった600個の風車で彩られた川崎市役所で、環境学習のワークショップを開催します | 株式会社SKLOのプレスリリース

6. 花いろは × 堺注染(Palette Japan)(大阪府)

  • 体験内容: 伝統工芸の端材を活かした「ピンセット要らずのつまみ細工」体験
  • 活用する廃材・素材: 堺伝統の「注染(ちゅうせん)」の反物・生地の端材
  • 背景・課題: 代々受け継がれてきた大阪の貴重な地場産業・伝統工芸である「堺注染」。この美しい染め物の技術を、より身近なものとして次世代や世界に伝えていきたいという強い想いが背景にあります。製品を作る過程でどうしても余ってしまう生地の端材をアップサイクルすることで、伝統工芸に新しい命を吹き込み、SDGsの観点からも持続可能な文化の継承を目指しています。
  • 活動実績(学校団体の受け入れ): 通常はピンセットを使って細かく形を整える難易度の高い「つまみ細工」を、ボンドだけで誰でも簡単に作れるよう工夫した「ピンセット要らずのつまみ細工キット」を開発。英語字幕付きの解説動画も用意されており、子どもから外国人留学生まで、多様な人々が日本の伝統に楽しく触れられる「和の体験プログラム」として活用されています。また、堺市役所とイトーヨーカドーが連携した「さかいSDGs」関連イベントなどにも出展しており、地域社会と密着した環境啓発活動を行っています。
  • おすすめポイント: 関西エリアへの教育旅行において、「伝統文化の体験」と「SDGs(廃棄物削減)」を同時に満たせる非常に優秀なプログラムです。キット化されており、動画解説(英語対応)も充実しているため、学校の教室や宿泊先の大広間、あるいはインバウンド(訪日外国人)を伴う国際交流プログラムなど、場所や対象を問わず柔軟に提案・実施できるのが大きな強みです。
  • 参照URL:花いろは×堺注染(ピンセット要らずのつまみ細工キット) | Granstra | 展示会サービス

Community Loops(横浜・東京・大阪など)

  • 体験内容: 衣類の回収・リペア・リメイクを通じた地域循環ワークショップ
  • 活用する廃材・素材: 使用済みの衣類(古着)
  • 背景・課題: 日本では年間約50万トン(毎日大型トラック約130台分)もの衣類が廃棄され、その多くが焼却・埋め立て処分されています。この衣服の大量廃棄問題を解決するためには、大量消費から脱却し、「地域内での資源循環」と「モノを大切にする文化」を次世代へ繋ぐことが不可欠です。
  • 活動実績(学校団体の受け入れ): 大学や地域コミュニティを拠点に、衣類の回収・リペア・リメイクを行う実証事業を展開。学校や大学のゼミと連携したワークショップの開催や、ヨーロッパなどの「修理文化」を伝える映画上映会などを通じて、サステナブルな社会を支える次世代人材の育成に力を入れています。
  • おすすめポイント: 身近な「ファッション(服)」がテーマであるため、生徒が最も関心を持ちやすい分野です。単なるリサイクルにとどまらず、「直して長く使う(リペア)」というヨーロッパ流の新しい価値観を学ぶことができます。
  • 参照URL:服がめぐり、人がつながる。地域発の衣類循環プロジェクト「Community Loops」、横浜・東京・大阪で始動 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD

Contents Like合同会社「Chopsticks Studio Kyoto」(京都府嵐山)

  • 体験内容: 天然木の伝統技術を学ぶマイ箸作りワークショップ
  • 活用する廃材・素材: 天然木(端材・伝統木材)
  • 背景・課題: 修学旅行のメッカである京都において、これまでの「ただ見て回る観光」から、SDGsへの理解を深める「探究型の体験学習」へのニーズが急速に高まっています。日本の伝統的な食文化である「箸」を通じて、持続可能なものづくりの精神(もったいないの心)を伝えるプログラムが求められていました。
  • 活動実績(学校団体の受け入れ): 京都・嵐山を拠点に、天然木を使った箸作り体験ワークショップを提供。職人の指導のもと、生徒が自分だけの箸を削り出し、それを持ち帰って大切に使い続けるという経験を通じて、SDGs目標12への理解を深めるプログラムとして、修学旅行の団体受け入れを強化しています。
  • おすすめポイント: 京都修学旅行の定番である「伝統工芸体験」に「SDGs(探究)」の文脈を綺麗にかけ合わせた、非常に提案しやすいプログラムです。お土産として持ち帰った後も日常で使い続けられるため、旅行が終わった後も学びが持続します。
  • 参照URL:【団体受入も開始】「箸作りワークショップ」が京都・嵐山に誕生 | Contents Like合同会社のプレスリリース

まとめ|学校団体におすすめの「廃材活用」と「アップサイクル」を学べる体験学習&企業事例

いかがでしたでしょうか?

今回ご紹介した「アップサイクル」の取り組みや体験学習は、単に「ゴミを減らそう」という義務感ではなく、「デザインやアイデアの力で、ワクワクするような新しい価値を生み出す」というポジティブなマインドです。

これは、これからの予測困難な時代を生きる生徒たちに必要な「課題解決能力」や「創造的思考力(クリエイティブ・シンキング)」を養う、まさに探究学習の究極の教材と言えます。

地球の未来を創る生徒たちに、ぜひ「生きたサステナブル」を体験させてみませんか?

最後までお読みいただきありがとうございました♪