社会とつながる「問い」の立て方とは?中高生の主体性を引き出す探究学習・教育旅行の最新トレンド&事例7選

近年、学校教育の現場や教育旅行(修学旅行・学年旅行など)において、「探究学習」の重要性がますます高まっています。

2022年度から高等学校で「総合的な探究の時間」が本格スタートしたことを契機に、単なる知識のインプットにとどまらず、生徒自らが問いを立て、課題を解決していく力が求められるようになりました。

しかし、現場の先生方からは「具体的にどのようなプログラムを組めば生徒の主体性が引き出せるのか」「地域や企業とどのように連携すべきか」といった悩みの声も多く聞かれます。

本記事では、今まさに教育現場で注目を集めている最新の探究学習事例を7つ厳選

これからの授業づくりや、次年度の修学旅行・校外学習の計画にぜひお役立てください。

最新の探究学習のトレンドとは?

現在の探究学習・教育旅行における最大のキーワードは、「社会とのリアルな接続」「当事者意識(自分事化)」です。

▼具体的には、次の3つの大きなトレンドが生まれています。

【1】「観光」から「問いの答え合わせ」へ。EdTechによる事前学習の進化

これまでの修学旅行や校外学習は、有名な名所旧跡を巡る「観光型」が主流でした。

しかし最新のトレンドでは、旅行前の「事前学習」にデジタルツールやEdTechを導入し、現地を訪れる前にあらかじめ自分なりの「問い」を立てさせるアプローチが主流となっています。

事前に地域の多角的な魅力や課題に触れ、独自の視点を持ってから現地に赴くことで、実際の体験が「単なる見学」ではなく「問いの検証・深掘り」の場へと変わり、学びの質が劇的に高まっています。

【2】キーワードは「関係人口」。地域・企業と本気で向き合うリアル・プロジェクト

フィールドワークの現場においても、単に見学するだけでなく、地域で活躍する方や、町工場や商店街で働く方など…

いわば「実社会のプレイヤー」の渦中に飛び込み、企業のリアルな経営課題に対して高校生が本気で解決策を提案したり、多世代の社会人と対等にまちづくりを議論したりするプログラムが急増しています。

生徒たちが「正解のない問い」に向き合う中で、「アントレプレナーシップ(起業家精神)」が育まれるだけでなく、将来的にその地域と継続的に関わり続ける「関係人口」の創出という地方創生の側面からも期待を集めています。

【3】「好き」や「疑問」を形にする、デジタルツールを使った成果発信

インプットした学びを論文や模造紙にまとめて終わりにするのではなく、ITスキルと掛け合わせて社会へ発信するアウトプットの多様化も新たな潮流です。

生成AIやノーコードツールなどを活用し、生徒自身が取材した成果をWeb上の「診断アプリ」やデジタルコンテンツとして形にする事例が注目されています。

発表会そのものを「聴衆がスマホで参加できる体験型」にアップデートするなど、身近なデジタル技術を駆使して周囲を巻き込む発信力がこれからの探究学習では重視されています。

学校現場や教育旅行での「探究学習」最新事例レポート7選

1.株式会社Inspire High│修学旅行の事前学習に特化したオンライン探究プログラム

修学旅行を「単なる観光」で終わらせず、一生モノの深い学びへと変えるためにEdTechを活用した注目の事前学習プログラムです。

旅行作家や歴史家、現地の多様な文化の担い手たちが登場するハイクオリティな動画セッションを通じて、生徒一人ひとりの知的好奇心を刺激します。

現地を訪れる前に「なぜそこへ行くのか」という自分なりの問いを構築することで、実際の教育旅行の効果を最大化させる最先端の取り組みです。

提供開始2026年4月1日
実施主体株式会社Inspire High
対象・場所全国の中学校・高校(主に教室内でのオンライン授業)
目的修学旅行前に「なぜそこへ行くのか」という自分なりの「問い」を立てる力を養い、現地での体験をより実りある学びにするため
実施内容の詳細旅行作家やオックスフォード大学の歴史家、さらに沖縄・大阪・京都・奈良の文化担い手(仏像彫刻師、農家、吉本新喜劇座長など)が登場する全6本の新セッションを提供。生徒は動画やワークを通じて地域の多角的な魅力に触れ、独自の視点を構築します
参照URLhttps://www.inspirehigh.com/

2.CanVas(ワクセル株式会社協力)│「自己探求カード」を用いた対話型自己理解ワーク

「自分の将来や価値観がわからない」という中高生特有の悩みに寄り添い、内省と対話をスムーズに促すツール活用の事例です。

生徒や教育関係者のリアルな声を反映して開発された特別なカードを使用し、ゲーム感覚で楽しく深いコミュニケーションを実現します。

進路選択や将来のキャリアを考える土台となる「心の声」を言語化することで、確固たる自己理解と他者への共感力を育むプログラムです。

提供開始2026年5月20日正式リリース(6月より体験会開始)
実施主体自己探求・自己表現をテーマに活動する「CanVas」(ワクセル株式会社が協力)
対象・場所中高生向けのキャリア教育や探究学習の現場
目的対話を通じて自分自身の価値観や感情を言語化し、自己理解と他者理解を深めること
実施内容の詳細中高生や教育関係者の声を反映して開発された「自己探求カード」を使用。カードを介した対話により、進路や将来を考える土台となる「心の声」に向き合います
※7月からはファシリテーターの養成も実施予定
参照URLhttps://waccel.com/

3.湘北短期大学・静岡県富士見高等学校│実践型まち歩き学習「富士ワンダー・クエスト」

高校生と大学生が混合チームを組み、地域の商店街というリアルな社会を舞台に協働する実践的なフィールドワークです。

「街の賢者(店主)への聞き取り」や「地域の魅力発見ミッション」など、ゲーム性の高いワークを通じて街の人々と深く関わります。

若い世代の視点で地域を見つめ直し、取材力や発信力を磨くだけでなく、世代を超えた協働の難しさと楽しさを体感できるプログラムです。

提供開始2026年6月20日(土)
実施主体湘北短期大学(鈴木ゼミ)および静岡県富士見高等学校
対象・場所静岡県富士市・富士本町商店街
目的地域・商店・人との関わりを通して、観察力、取材力、発信力、協働力を身につけること
実施内容の詳細混合チームで「賢者を探せ!」(店主への聞き取り)や「ワンダーフォトさがし」などのミッションを遂行。ランチ体験やSNSでの発信を通じ、若い世代の視点で地域の魅力を再発見します。
参照URL

4.福岡雙葉高等学校(ギミックプラス社「Makko」活用)│ノーコードツールを活用した伝統文化のデジタル発信

生徒たちの「推し」や「疑問」を出発点に、最新のITツールを駆使して社会へアウトプットを届ける先進的なデジタル探究の事例です。

若い世代には少し敷居が高いと思われがちな「和菓子」の魅力を、自分たちで取材・調査し、スマートフォンで遊べる診断アプリとして形にしました。

成果発表会では聴衆がその場で診断に参加できる「体験型」のプレゼンを行い、探究の成果を周囲へ巻き込む新しい発信スタイルを提示しています。

提供開始2026年5月に事例公開(福岡雙葉高等学校2年生が実施)
実施主体福岡雙葉高等学校の生徒
※株式会社ギミックプラスの診断作成ツール「Makko」を活用
対象・場所福岡雙葉高等学校(総合的な探究の時間)
目的若い世代には敷居が高いと思われがちな和菓子の魅力を、親しみやすい「診断」という形式で発信すること。
実施内容の詳細生徒が自ら和菓子店への取材や調査を行い、12種類の結果パターンを持つ和菓子診断『Today’s wagashi』を制作。発表会では聴衆がスマホで参加できる「体験型」の発表を行い、高い関心を集めました。
参照URL

5.アーストラベル水戸株式会社│茨城県を舞台にした地域密着型・職場体験プログラム

地域の広大なネットワークを活用し、一次産業の農家から最先端の研究機関までを学びのフィールドとして再編集した地域密着型事例です。

従来の「見るだけ」の観光や単なる作業手伝いにとどまらない、社会のリアルな実装現場に触れる「シゴトリップ」を展開しています。

実社会の生々しい課題に直接触れることで、生徒たちが自ら課題を設定し、自身のキャリアや価値観を具体的に捉え直す機会を提供しています。

提供開始2025年度(延べ13,100名が参加!)
実施主体アーストラベル水戸株式会社
対象・場所茨城県内の34市町村(173事業所と連携)
目的実社会の現場に直接触れることで、生徒が自ら課題を設定し、将来や価値観を具体的に考える機会を提供すること。
実施内容の詳細職場体験プログラム「シゴトリップ」や、つくば市の「研究・社会実装」を軸とした探究型修学旅行を提供。観光型から「社会と接続する探究型」への転換を進める学校に採用されています。
参照URL

6.TOKYO EDUCATION LAB・レノファ山口FC・駒場学園高等学校│Jリーグクラブと連携した「地域探究型修学旅行プログラム」

プロスポーツクラブが持つ強固な地域ネットワークを活用し、教育旅行を通じて地方創生にダイレクトに貢献する画期的なプログラムです。

単なる旅行先としての訪問を超え、クラブのパートナー企業やホームタウンの人々と深く関わり、地域の魅力を共に再発見していきます。

参加した生徒が旅行後に家族と現地を再訪したり、地元の大学進学を検討したりするなど、強固な「関係人口」を生み出す持続可能な教育モデルです。

提供開始2024年度より継続実施(2026年5月18日にメディア賞を受賞発表)
実施主体株式会社TOKYO EDUCATION LAB、レノファ山口FC、駒場学園高等学校
対象・場所山口県(山口市、周防大島町、美祢市など)
目的地域の内外の若い世代とともに地域の魅力を再発見し、強固な「関係人口」を創出すること。
実施内容の詳細クラブのホームタウンやパートナー企業と連携した探究プログラム。体験した生徒が後に家族と再訪したり、現地の大学受験を検討したりするなど、教育が地方創生に直結する成果を生んでいます。
参照URL

7.東海大学付属甲府高等学校・株式会社スリーハイ│町工場社長と直接対話する経営課題解決型・探究学習

「本物の企業経営」を題材に、生徒たちがビジネスの最前線にいる経営者へとガチンコで提案を行う、非常に熱量の高い探究事例です。

山梨県の高校生222名が、横浜の町工場のリアルな未来を考え、4つの異なるステークホルダーの視点から具体的な解決策を練り上げました。

社長自らが何度も教壇に立って生徒に伴走し、正解のない問いに対して判断し行動する「アントレプレナーシップ(起業家精神)」を本格的に鍛え上げます。

提供開始2026年4月開始、5月29日に最終発表会
実施主体東海大学付属甲府高等学校、株式会社スリーハイ
対象・場所東海大学付属甲府高等学校(山梨県甲府市)
目的正解のない問いに向き合い、自ら問いを立て、判断し、行動する「アントレプレナーシップ(起業家精神)」を育成すること。
実施内容の詳細「スリーハイの未来を考える」をテーマに、2年生222人が4つのステークホルダー視点から経営課題の解決策を立案。社長が直接授業を行い、生徒の提案プロセスに助言を贈りました。
参照URL

まとめ|学校現場・教育旅行における「探究学習」最新事例レポート

今回ご紹介した7つの最新事例が示しているのは、これからの探究学習や教育旅行が「教室内・学校内だけで完結しない」という点です。

学校外の多様な大人、地域社会、民間企業、あるいはプロスポーツクラブといったリアルな実社会と交わることで、生徒たちの学びに対する姿勢は劇的に変化します。

修学旅行をハブにした地域との継続的なつながり(関係人口の創出)や、企業の経営課題に本気で挑むプロセスは、生徒たちに「自分たちの提案が社会を動かすかもしれない」という強い当事者意識と自信をもたらしてくれるはずです。

ぜひ本レポートを参考に、次の時代を生きる生徒たちの「生きる力」を育む、新しい探究プログラムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました♪