2025年12月1日、公益財団法人日本修学旅行協会が「教育旅行年報データブック2025」を発行し、2024年度の全国修学旅行調査(中学校・高等学校)の最新データが公開されました。
修学旅行を取り巻く環境は、費用高騰、インバウンド増加、受入先の人手不足、探究学習の重視など…大きな変化の渦中にあります。
本記事では、旅行会社の教育旅行担当者や学校の先生が “忙しい中でも要点だけ一目で分かる” ように、主要データをグラフとともに簡潔に整理!
中学・高校の実施動向、体験内容のトレンドなど、これからの修学旅行計画に直結するポイントをわかりやすくまとめています。
※引用元:教育旅行年報「データブック」(公益財団法人日本修学旅行協会 公式Webサイト)
▼2024年度実施の修学旅行の主なトピック
- 費用高騰・オーバーツーリズム・バスの制約により、行き先や実施時期の再設計が必須に
- 修学旅行は見学中心から、探究・社会課題・主体的な学びの場へ進化
- 「探究学習」を実現するために、分散・選択型の行程へ
【1】When・Where│修学旅行の「実施方面・時期・日程」の変化

中学校前年度同様「行き先変更」と「実施時期の分散」が上位に。修学旅行は“調整ありき”の時代へ。
その理由にあるのは、やはり旅行費用の高騰と受入環境のひっ迫です。
中学校の修学旅行は、近畿・関東方面に集中しやすく、さらに実施時期も5~6月に偏る傾向があります。その結果…
- 貸切バス・タクシーの確保が難しい
- 宿泊施設が取りづらい
- 公共交通機関や観光地の混雑が激しい
- それに伴い費用がさらに上昇する
といった課題が重なり、「方面をずらす」「時期を分散する」「見学地や体験内容を再設計する」必要に迫られている学校が多いことが読み取れます。

高等学校「国内見直し」が主流だが、「海外回帰」も一定数。「国際理解」は教育旅行ならではの学び
高校でも「国内の別方面への変更」「実施時期の見直し」が中心ですが、一方で「国内から海外へ変更」を検討する学校も一定数存在します。
国内旅行においても費用高騰は避けられず、その影響は高校も同様です。しかしその中で…
- 国際理解は“現地でこそ深まる学び”である
- 修学旅行だからこそ海外体験の価値を大切にしたい
という教育的意義を重視し、コストだけでなく「学びの質」を軸に海外修学旅行を検討する学校も一定数あります。
【2】How│修学旅行の「実施方法」の変化

中学校「交通手段の変更」の割合が増加!移動手段は“確保しやすさとコスト重視”にシフト。
昨年度と比較すると、「交通手段を変更」した学校の割合が増加しています。
その理由としては、航空機・JR・バスといった「交通手段自体の変更」ではなく…
- 費用面でメリットのある「JR連合体輸送」の活用
- ドライバー不足・高騰が続く貸切バスや貸切タクシーの利用を減らす行程
といった、「手配のしやすさ」「コスト抑制」を重視した現実的な工夫が増えていると考えられます。

高等学校「一斉行動から、選択制・テーマ別へ」。学びも行程も“分散型”に。
高等学校では、昨年同様に、1位「見学地・体験の見直し」、2位「選択制やテーマ別コースの実施」がランクイン。
その理由として…
- 航空機の小型化に伴い、大人数での一括の座席確保が難しい
- 学習指導要領の改訂により、生徒の主体性・多様性を尊重する学びが求められ、興味・関心に応じた選択制プログラムを取り入れる学校が増加
- 人手不足により、宿泊・体験施設での大人数の受け入れが難しい場合が増えてきている
といった「教育的要因」と「受入環境の制約」の両面から、「全員同じ動き」ではなく、修学旅行は“少人数・分散・選択型”へと構造的に変化していることが読み取れます。
【pick up!】滋賀・びわ湖の自然体験学習施設「BSCウォータースポーツセンター」なら…
- 1度に500名以上受入可能!クラス・学年の仲を深めるには、やはり「共通体験」も大切
- 10種類以上の体験プログラムをご用意!そのため施設内で「選択プログラム」を組むこともできます
【3】What│修学旅行の「体験内容」の変化

中学校「はじめて社会へ飛び出し、目で見て感じる場」として、探究・キャリア学習を軸とした体験型学習へと進化!
1位:「探究型プログラムの実施」
修学旅行が「見る・聞く」中心の学びから、「自分で問いを立て、考え、まとめる」学びへと移行していることが分かります。
これは「総合的な学習の時間」との連動を強め、探究学習を実際のフィールドで実践する場として修学旅行を位置づけようとする動きの表れです。
教室での学びを、現地での体験を通して深める役割が、修学旅行に期待されています。
2位:「キャリア教育の要素を取り入れる」
前年度調査から大きく順位を上げた理由として、学習指導要領で「教育課程全体を通じたキャリア教育の推進」が求められています。
さらに学校現場では、早い段階から生徒が自分の将来や進路を考えるきっかけを持つことの重要性を実感しはじめている結果と考えられます。

高等学校「社会課題を自分ごととして捉え、進路や生き方につなげる学びの場」として、より実践的で深い探究のステージへ
1位:「探究型プログラムの実施」
中学校同様、修学旅行が探究学習の実践の場として本格的に位置づけられていることが分かります。
「総合的な探究の時間」との連動を意識し、社会課題や地域課題に主体的に向き合う体験が重視されています。
2位:「平和教育・平和学習」
戦後80年を迎え、体験者の声を直接聞けなくなる危機感を背景に「今こそ続けるべき学び」として重要性が高まっています。
受入地域でも「若い語り部の育成」や、修学旅行生が語り部側になって発表するなどの新しい継承の形が進んでいる点も特徴です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
修学旅行は、もはや単なる学校行事ではなく、「探究学習・キャリア教育・平和教育・国際理解」などを実践する学びの中核的な場へと大きく役割を変えています。
費用高騰や人手不足、インバウンド増加、交通・宿泊の制約といった厳しい外部環境の中でも、学校現場は「だからこそ、より良い学びの形に進化させる」という方向に舵を切っていることが、今回のデータから明確に読み取れます。
▼2024年度実施の修学旅行の主なトピック
- 費用高騰・オーバーツーリズム・バスの制約により、行き先や実施時期の再設計が必須に
- 修学旅行は見学中心から、探究・社会課題・主体的な学びの場へ進化
- 「探究学習」を実現するために、分散・選択型の行程へ
行き先や時期を見直し、実施方法を工夫し、体験内容を探究型へと組み替える動きは、制約へのやむを得ない対応ではなく、教育の質を高めるための前向きな変化だと言えるでしょう。
今回の「教育旅行年報データブック2025」が、学校・旅行会社・受入地域が同じ方向を向き、これからの修学旅行を「より深い学びの場」へ進化させていくための共通言語となることを願います。
最後までお読みいただきありがとうございました♪
